1、より良き人生のために

                             武田考玄『未来予知学としての四柱推命学入門』より抜粋)
 人としてこの世に生をうけた以上、幸福を願わない人は一人もおりません。幸福とは、単なる瞬間的なものでもなければ、諦観の入り交じった主観的な思いでもありません。目の前にある希望・願望を一つ一つ確実に達成し、また次なる希望や願望へ向かって努力をしつつ向上して行く、この繰り返しの中で最終的に充実感ある環境に到達すること、とおおまかに言うことができます。
 しかし現実はどうでしょう。突然思わぬ不幸に見舞われたり、いくら一生懸命努力しても少しも報われることがなかったり、焦れば焦るほどすべてが悪い方向へ転がって行く、こうしたことを身をもって体験された方もいらっしゃると思います。
 その反対に、大変恵まれた環境に生まれ、それほど努力もしていないのに順風満帆であったり、また、貧しい家庭に生まれても、やること成すことすべて好調で、どんどん発展し、成功して行く人を見聞きもしております。中には、得意の絶頂にあった人が、あっと言う間に一落千丈、不幸のどん底に落ちたり、ひどい場合は一命さえ失う人もおります。
 現在の日本では、多くの占いが氾濫しており、四柱推命(中国では命理という)と称しているものでさえ、真の四柱推命とは似ても似つかないものがほとんどで、四柱推命学も占いと同じようなもの、と思っている人が多いようです。しかし、四柱推命学は占いではありません。それは本書を読まれれば自ずと理解されることで、真の四柱推命学は、生命エネルギー理論であり、その実証的な正確さにおいて他に比肩するものなき、首尾一貫した理論体系ある学問であります。
 四柱推命学によって、自分の将来の幸不幸を予知したならば、その将来を可能な限り良化する方法によって、あらゆる現代科学と共助し合いながら、かつ、実践して行くのが、英知ある人間と言えるのではないでしょうか。そのための、基盤、おおもと、となるものが、四柱推命学であるということを知っていただきたいのです。
 四柱推命学は、あなた自身のより良き生活への手引きであるばかりではなく、あなたの配偶者、お子さん、ご両親、友人のためのものでもあれば、あなたが学校の教師であるなら、児童・生徒を良い方向へと導くためのものでもあれば、あらゆる職業における上司と部下の関係、あるいは、取引関係を円滑にしていける基本ともなるものでもあります。すべては、原因と結果の厳然たる法則から外れるものではなく、その原因の根源を知ることによって、より良き生活への対応策、良化の方法が講じられるものであります。
 生きとし生ける人々が向上発展して行くことによって、より良き社会となり、さらには世界平和へとつながっていくことの祈願が本書には込められているのです。


2、四柱推命学の発展の歴史
             (池宮秀湖『色彩分布図による 最新 四柱推命』より抜粋)
  中国では、少なくとも今から二千年以上昔から、干支暦をもとに、人の誕生した年、月、日、時の干支による四柱八字と、その人の実際の命運との関係を明らかにしようとする研究が積み重ねられてきました。中国において、「命理」「命学」「子平」あるいは「三命」と広く言われているものがこれです。
 中国においては、『滴天髓』『子平眞詮』『造化元鑰』といった名著やその他数々の珠玉とも言える歌訣から、かなり怪しい内容の書まで玉石混淆の状態であったのは、総理大臣を務めるような知識人が研究し、著作を残している一方で、命理を生活の糧とし、糊口をしのがなければならなかった人々も多かったからと言えましょう。
 日本においては、文政元年(1818年)桜田虎門という儒学者が、『淵海子平』を翻訳したのですが、訳者が命理の知識がなかったために、誤訳だらけの『推命書』となり、日本の推命は間違った方向へと迷走してしまったのです。
 
正しい四柱推命とは、その人が誕生し、オギャーと産声を挙げた瞬間の生年、生月、生日、生時をそれぞれ一つの柱としますと四つの柱となりますので、日本では四柱推命と言われているのです。
 この四柱(生命エネルギー)がその人のすべてを示す基本的根源となり、「陰陽五行哲学」によって、その人の一生の流れを知ることのできる最高の確率を誇る学問であります。「陰陽五行哲学」の一部を簡単に説明しますと、


A、陰陽とは、
 昼と夜、夏と冬、東と西、上と下、明と暗、吉と凶、喜と忌、男と女、等々、陰中に陽あり、陽中に陰あり、と言われるように単なる二元論ではないのです。

B、五行とは、
 この世に存在する目に見えることも、触れることも出来ない五つの元素のようなものから成り立っていて、相互に影響を及ぼしあいながら変化していく自然観でもあれば、循環律、変動律でもあります。この五つの元素のめぐりを仮説代名詞として、木・火・土・金・水、としたのです。

 ・十干(じゅっかん)
 人間が、まだ狩猟や採集によって生活していた原始の頃、規則正しく東から昇り、西に沈んでいく太陽があることを知り、昼と夜からなる一日という概念が生じたことから、一日一日の区別を、第一の太陽が出た、第二の太陽が出たというように、両手の十の指を使って教えていた十という数であり、“十の太陽”=「十干」が考え出されたのです。
 この十干は、陰陽五行の考えにより、次表のように分別することができるのです。


 

 つまり、甲は木の陽-陽干(ようかん)であり、乙は木の陰-陰干(いんかん)であり、五行が同じ木であっても、その性質には大きな違いがあるのです。
 他の火・土・金・水についても同様に言えるのです。


・十二支(じゅうにし)

 十の太陽、天の気を表す十干に対して、地の気を表す十二支は、太陽と地球の相関関係において生じるところの、春夏秋冬の季節の移り変わりや、朝昼夕夜の時刻の移り変わり、さらには、東西南北の方位をも表す仮説代名詞として用いられるようになったのです。
 十二支を、陰陽と五行で分別しますと、下表のようになります。十二支にも十干同様に、陰と陽の支があります。

 
 この十干十二支を組み合わせたものが、殷墟から発掘された「甲骨文字」による六十干支であります。この四柱八字と「陰陽五行哲学」によって、次のようなことが分かるのです。

3、どのようなことがわかるか
                             (武田考玄『未来予知学としての四柱推命学入門』より抜粋)

  家庭環境について
 
両親との縁の厚薄、変化。
 
両親よりの遺伝的要因。
 
出生時の生家の財の多寡、その社会的地位の状態。
 
遺産のおおよその多寡、遺業の有無・大小。
 
兄弟姉妹のおおよその数、その縁の厚薄。
 
結婚の時期。
 
配偶者との縁の良否。
 
子女の有無、おおよその数、縁の厚薄。

  性格について
 
性情形成過程と、その変化。
 
役割性格の変化の過程。
 
知能・才能・能力の如何。
 
容姿・容貌、言語・言動。

  健康面について
 
生まれてから死に至るまでの健康面の変化の過程。
 
疾病の発生しやすい部位。
 
五官の機能の良否。
 
飲食に対する好き嫌い、嗜好。また、年齢によるその変化。
 
運動量の適不適。
 
栄養のバランスの良否。
 
ホルモン系統の調和・不調和。
 
発病時期とその部位。場合によっては、病名。
 
寿命にかかわるような重大な疾患、あるいは事故の発生時期。


  職業、財について

 適性進路、適職の方向性。
 
社会的地位の如何。
 
財の多寡と、その変遷のありよう。

  その他
 ◆
一生の変化の良し悪し
 
細密な年、月の事象。

等々、まことに多くの事柄を知ることができるのです。四柱推命学は、他の科学と同様、理論体系あるものですので、生年月日時が正確であれば、事実・事象は必ず一致するものです。もし事実・事象と一致しないというようなことがありましたなら、それはその人の生年月日時が違っているか、あなたの見誤りか、のいずれかなのです。熟達しますと、生年月日時のみで、本人に会うことなく、その人の生き生きとした人間像を認識することが可能となるのです。
 ですから、注意すべきは、現在生存しておられる方、あるいは既に亡くなった方でさえ、そのプライバシーに関することを公表したり、興味本位の対象にしたりすべきではないということです。四柱推命学を学ぶ者には、医者や弁護士と同様「守秘義務」があります。それが“愛と知”であり、“愛と知”のない人は、四柱推命学を学ぶべきではありません。方位現象を論じる奇門遁甲学の聖典『煙波釣叟歌』に、
 “心卑しき人には遁甲を教えてはならない。”
と言われておりますが、それはそのまま四柱推命学にも言えることです。
 私は、四柱推命学はその人の命と運を「審」らかに推「察」するものですから、「審察」と言っております。四柱推命学により、自分の将来を予知して、自己変革への実践をして行かれることへの期待と、人間の命の尊さを敬う心を込めて、審察と言っているのです。


4、その公理となるものは

 四柱推命学が学問である以上、他のあらゆる科学と同様に、公理となるものを掲げておかなければならないのです。つまり、その公理となるものは、

 
“太陽と地球の相関関係における個人の対応である。”
と一言で言うことできます。そして、この公理から、大定理、中定理、小定理が導き出されることになるのですが、その定理を導き出すところの理論的背景・根拠となるものは、次の章で説明する陰陽五行哲学なのです。
 皆様は、「エネルギー不滅(保存)の法則」という物理学の法則をよくご存じのことと思います。四柱推命学の公理は、太陽と地球の間にあって、地球上で誕生したその人の生命エネルギーが、時間の経過の中で、どのようなエネルギーの保存・移行・転換を行なうかを熟知し、さらに良い方向へと変化・転換させて行くか、の方法を知ることである、とも言えるのです。ですから公理の真の意味は、「エネルギー理論」として理解すべきなのです。
 また、この「エネルギー理論」を考える際、アインシュタイン博士の相対性理論を欠かすことはできないのです。相対性理論で言われている「等価の原理」を簡略化して図示しますと、図1のようになります。



 あまりにも単純化した図ですので、誤解を招く恐れもありますが、要は質量とエネルギーの相関性を表しているのです。しかし、アインシュタイン博士の理論には、人間の肉体や精神が入っておりませんので、四柱推命学の公理と結びつけますと、図2のように示すこともできるのです。単純化した図ですから、これを詳しく説明するとなりますと、現代物理学、哲学、心理学等々の絡み合った大変複雑なことになりますので、本書ではこれ以上は触れませんが、四柱推命学は時間を主とし、奇門遁甲学は空間・方位現象を主として成立しているのです。